書評826-誰もが嘘をついている〜ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい 本性
2025年12/18【826】普通 難易度4
本書はタイトル通り『誰もが嘘をついている』ことをビッグデータ、つまり、Google検索の上位ランキングの分析から導き出した本である。
皆、しれ〜っと
「わたしは良い人ですわよ」
みたいな顔をして街を闊歩しているが、実は一人になるとあんなワードやこんなワードをこっそり検索しては、
「ぐへへへ⋯」
とやっているのである(とは書いてないけれど)。
フェイスブックではポジティブワードが多く使われるが、Google検索ではネガティブワードのほうが多いという。
個人を特定されるフェイスブックでは良い人ぶるものの、誰にも言えない悩みや秘密はGoogle検索に打ち明けるのだ。
私だって、ここでは決して書けないようなことを妄想してはGoogle検索することがある。
だって、興味があるんだもん!
しかし全ての検索データが監視、追跡、蓄積されていることも重々承知である。
なので、マークされないよう(誰に?)あまりにヤバい内容は、あえて検索しないようにもしている。
でもでも!
興味がある=その性癖がある、ってわけでもないでしょう?
変なワードを検索したせいで『アナタにオススメ』で変な画像が出続けるのも気持ち悪いし。
Google検索という『デジタル自白剤』が世に登場して、まだほんの30年。
その結果、政府や企業が発表する『公式データ』と実際のデータには相違がある場合もあることが、徐々に明らかになってきたという(例:自己申告による年間コンドーム使用回数と実際の製造数)。
世間の一般通念と人間の実際の興味との間に、乖離があることも(例:失業者が一番最初にググるワードは新しい仕事ではなくNetflixや暇つぶしのゲーム)。
あはは〜、と思いつつも。
こうした事実が『人間の本性』と言えるのかどうかは別として、実際にビッグデータ分析をしてみたからこそ導き出せた事実だろう。
ニュース番組でも検索ワード解析からトピックスが作られる今日、ビッグデータ分析を利用することは言うまでもなく、もはや常識である。
だが、そのビッグデータ分析を『上手く』利用することは、なかなか難儀なことなのかもしれない。
データが全てのこともあれば、そうでないこともある。
データが正しいこともあれば、データ自体が嘘の塊なことだってあるのだ。
本書を読むにあたり、例によってAmazonレビューを参考にした。
これもビッグデータの活用だ。
概ね高評価の本書ではあるものの、大統領選挙や人種差別などアメリカ社会が中心に話が進むため、正直かなりイメージがつかみにくい。
日本の読者にとっては、各州の前提知識(共和党が多いとか白人至上主義寄りだとか同性婚に寛容だとか)がないとなかなか深い理解は得られないだろう。
著者の指摘に納得する前に、挫折しそうであった。
と思ってAmazonレビューの数少ない低評価レビューを読むと、私と同じ感想が書かれているではないか。
ビッグデータも大いに参考になるが、スモールデータこそが物事の本質を突いている場合もある。
スモールデータをニッチ市場の開拓やビジネス、物事の改善に役立てることも、これまた十分に可能だろう。
結局のところ、データをどう解釈し、どう距離を取るかは個人の判断に委ねられているのだ。
本書の刊行は2018年。
幾度となく例に上がるフェイスブックの人気は、もはやインスタグラムにとって取って代わられた感がある。
SNSでのキラキラアピールも、もはや社会問題のレベルである(そうは言っても覗いて比べては落ち込む己の未熟さよ)。
今読むと、改めて新しい視点を得られる一冊というよりは「そうだよね」と確認するための本、という印象が強かった。
(とはいえ、人々が実はこっそり検索しているアダルトな検索例について本書でグイグイ触れているため、興味があったら読んでみて)
本記事は参考情報として提供しており、内容の正確性・最新性について保証するものではありません。
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