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「12連休、ズルっ」GW中の遊ぶ人を「ずるい」と思う心の正体

「12連休、ズルっ」

GW中の遊ぶ人を「ずるい」と思う心の正体

ゴールデンウィーク(GW)の海外旅行、絶景、バーベキュー。

楽しそうな投稿に「いいね」を押したあとに残るのは、取り残されたような感覚だ。遊んでいる人を「ずるい」と思ってしまうのは、なぜなのか。

世間は遊んでいるのに、自分は仕事をしている――。

東京都内の大手企業の会社員女性(33)は、GW中も出勤が続く。

会社としては休みだが、担当するイベント業務があるため

事実上、カレンダー通りには休めない。別の会社に勤める夫はGWを満喫中。

「あなたはゴロゴロできていいね」  そう思いながら通勤。

途中で、レジャーに向かう家族連れとすれ違うたびに

気が遠くなりそうになる。 「見るのもつらいです」(女性)

カレンダー通りの休みを確保できても、心中が穏やかでない人もいる。

4月末、「有給休暇を使えば、今年のGWは最大12連休」と伝えるニュースに

東京都内の会社員男性(34)はこう思った。 「12連休、ズルっ」

同僚も有給休暇をつなげてアメリカ旅行に行く。

自分も休みはあるはずなのに、急に「自分は何をしているんだろう」と思った。

■「休暇嫉妬」という感情  GWに遊んでいる人を見て、気分が下がる。

自分より休んでいる人を見て、落ち込む。

この感情は何なのか。  感情の哲学に詳しい源河(げんか)亨さん(九州大学大学院准教授)は

「休暇嫉妬(ホリデー・エンヴィ)」と説明する。 「他人の休暇の様子を知って『うらやましい』と思うだけではありません。

ネガティブな感情が混じることです」

そもそも嫉妬は、人間に古くから備わった感情だとされる。限られた資源をめぐる競争のなか

他人が自分より有利な状況にあると察知するための感情として発達してきた。

他人が自分より有利な状況にあると感じたときに生まれる。

例えば、同僚が昇進したとき。同僚が自分より成功し、自分にはない利益を得ていると気づく。

ただ問題はここから。自分が同僚よりも劣っていると認めたくないから、「媚(こび)を売って昇進した」など

不当だと思い込んで、同僚を攻撃する。同僚の評判が下がれば、自分にチャンスが回ってくる可能性があるから。

だが、休暇嫉妬の場合は違う。 「他人の休暇に嫉妬しても、自分の休暇が増えるわけではありません。

ましてやSNS上の人に嫉妬しても、その人の休みが自分に回ってくるわけではないのです」(源河さん)

自分にメリットがないのに、なぜ私たちは見も知らぬ他人の休みにまで心を乱されてしまうのか。

■GWは嫉妬しやすい  理由の一つは、GWが「差を突きつけられる時期」だからだそう。

働き方、収入、休暇の取りやすさ。普段は見えにくい待遇の差が表に出る。

家族や配偶者とのあいだでは「家庭内格差」が露見する。

「家族や配偶者は、自分と同じ側にいる存在だと感じやすい。

しかし実際には、それぞれ違う条件で働き、生活しています。

その違いが見えたときに、強い違和感が生まれるのです」(源河さん)

つまり、一心同体だと思っていた配偶者にだけ休みがあり、しかも遊びに行く余裕もある。

その瞬間に、自分との待遇の違いが見えてしまう。

「自分は適切に評価されていない」のではないかという気持ちが生まれる。

配偶者や親戚に「あなたは休めていいよね」と語気が荒くなったら、嫉妬している可能性があるという。

では、どうすればいいのか。 「嫉妬は、食べ物を見たときに食欲がわくのと同じで

自然に生まれてくる感情です。感じること自体に善(よ)し悪(あ)しはありません」(源河さん)

うらやましいと思うことは問題ではない。大切なのは、その後の行動。

例えば、祝日なのに働いている自分は、ぬくぬくと休んでいる配偶者に

「自分は正しい怒りをもって責めてもいい」と思ってイライラをぶつけてしまう。

だが、ぶつけるべき正当な怒りなのか、いちど考えるべきだそうです。

自分の嫉妬心に気づいていれば、人間関係の崩壊を防ぐこともできる。

こうした「嫉妬マネジメント」は、SNSを開けば他人の成功が目に入り

自分との格差を突きつけられる時代にこそ、必要だと源河さんは言います。



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